はてな?アクセシビリティ

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「はてな?アクセシビリティ」とは、アクセシビリティに関する取り組みの熱心さやその意図は理解できるけど、『何か間違っていない?』という事例に対して警鐘の念を込めた言葉です。

決してこうした事例を誹謗・中傷するつもりはありません。アクセシビリティは、非常に多様な人々の利用環境に配慮することであり、時と場合によって「ある人には便利だけれど別の人にとっては不便」といったトレード・オフの関係に直面することもあります。その際に「本質の理解」が不十分だと、つい間違った判断をしてしまいがちです。この本質を追求するために、「はてな?アクセシビリティ」を検証していきたいと考えています。

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目次

野村證券 (2005年9月20日)

野村證券「アクセシビリティポリシー」のページへ野村證券は、平成17年6月6日のプレスリリース(PDF:73KB)で、「野村ホールディングス株式会社及び野村證券株式会社のホームページを証券業界では初めてJISに対応し、高齢者や障害者の方にもご利用いただきやすくするとともに、ユーザビリティとアクセシビリティの両面で一層の改善を実現した」と、そのホームページのリニューアルを発表しました。

また野村證券ではこのリニューアルに先立ち、独自のWebアクセシビリティ・ガイドラインを策定するとともに、「アクセシビリティポリシー」を定め両社のホームページ上に掲載しました。
ここではきちんとJISの第6章にも準拠して、「野村証券グループのWebサイトに関するご意見・ご要望」を受け付ける「ご質問フォーム」も用意されています。

こうした取り組み自体は非常にすばらしく、これを機に、ぜひ証券業界、金融業界全体にアクセシビリティが広まっていくことを願っています。

野村ホールディングスのホームページへしかし残念なことに、私が普段使っている利用環境(Windows XP SP2+Opera 8.5)で野村ホールディングス株式会社のホームページにアクセスすると、突然ロゴしか表示されなくなってしまいます。Operaを積んだ携帯ブラウザでも同様の現象が起こります。

アクセシビリティとは、決して障害者のためにとか、高齢者のためだけを考えることでは無いはずです。すべての人にとってのアクセシビリティであり、その点は野村ホールディングスのアクセシビリティポリシー「3. お客様の多様なご利用環境への対応」の中でも「お客様がWebサイトを利用する環境は(中略)ブラウザの種類およびバージョン(中略)などにより多様化しています。どのようなご利用環境においても、お客様が支障なくご利用いただけるように配慮してまいります。」と明記されています。

もちろん、セキュリティ面からブラウザの種類やバージョンを限定せざるを得ない場合もあります。しかしその時にも、アクセシビリティの実践上では、最低限の情報提供に最大限努力する姿勢は不可欠です。
この現象については先の「ご質問フォーム」を通じて連絡済みですので、早急の対処を願ってやみません。

自由民主党 (2005年9月27日)

政治の世界でもアクセシビリティが広まりつつあります。JISが制定され、最近改正された障害者基本法などでも情報アクセシビリティの確保が公に対して求められている昨今ですから至極当然の動きではありますが、それでもすばらしいことです。

日本の最大政党 自由民主党のホームページでも、「自民党は、音声読み上げソフト等に対応できるWebページづくりを目指しています。」と冒頭で明記されるようになりました。

自民党の政策のホームページへしかし残念なことに、自民党のホームページはフレームという機能が使われてしまっています。

フレーム機能そのものを否定するわけではありませんが、音声読み上げソフトやテキストブラウザなどでフレームのページを利用するにはたいへんな煩わしさが伴うことも事実です。したがってフレーム機能を使う際には、アクセシビリティの面から重要な配慮が幾つか求められます。

一つ目が、フレームを使えない利用者に対してのnoframes要素(タグ)を使った代替手段(フレームを使わなくてもページを操作できるリンクなど)の提供です。残念ながら自民党のホームページでは、noframes要素はあるものの中身は空っぽで、何の代替手段も提供されていません。
ちなみに、noframesでの「フレーム対応のブラウザをお使いください」といった内容は何の配慮にもなっていませんのでご注意ください。

二つ目は、frame要素でtitle属性を使って各フレームの違いを明記することですが、これもできていません。音声読み上げソフトの利用者は、「TOP」「MAIN」といったname属性の情報だけを頼りに、フレームを切り替えながら操作しなければなりません。

三つ目は、各フレームのサイズ指定などを相対的な単位で指定することで利用者によるサイズ変更を許容することですが、これまたデザインの制約などからか、noresizeなどが指定されているため、はみ出しなどが発生してしまっています。

自由民主党のホームページのHTMLソース(2005年9月27日現在、一部抜粋)

<FRAMESET rows="112,*" cols="*" frameborder="NO" border="0" framespacing="0" name="MAINTOP">
<FRAME src="seisakuTop.html" name="TOP" scrolling="NO" noresize>
<FRAMESET cols="141,*" frameborder="NO" border="0" framespacing="0">
<FRAME src="seisakuMenu.html" name="LEFT" scrolling="auto" noresize>
<FRAME src="../saishin05/index.html" name="MAIN">
</FRAMESET>
</FRAMESET>
<NOFRAMES><BODY>
</BODY></NOFRAMES>

フレーム利用への適切な対応を期待するとともに、出来ればフレーム未使用のホームページへのリニューアルを期待いたします(リニューアル費用はせいぜい数万〜十数万円?)。

自由民主党 (2005年11月28日)

自民党のホームページへ久しぶりに自民党のホームページを訪れてみると、フレーム無しのサイトにリニューアルされていました(このページの声が届いたのか?)。

しかし、せっかくリニューアルして相変わらず「自民党は、音声読み上げソフト等に対応できるWebページづくりを目指しています。」と声高らかに謳っているにも係わらず、ほとんどの画像にalt属性(代替テキスト)が付けられていません。アクセシビリティの基本中の基本ができていないようでは、アクセシビリティは一層悪化したと判断せざるを得ません。

日本の最大政党がこのお粗末では・・・、とても残念です。